11月も半ばとなり、肌寒さが日に日に強ま……っているとは言いづらい京都です。
昨日は気温が20度を超え、歩いていると軽く汗ばむぐらいの陽気でした。
今回の記事は
京都随一の人気寺院、清水寺です。(1,2枚目の画像は清水の舞台[本堂]、3枚目は三重塔です。)
いつ訪れても、ここ清水寺近辺は国内外からの観光客と修学旅行生で溢れかえっています。
TVなどのメディアにも数えきれない程に紹介されている清水寺が今回のテーマです。
では、例により清水寺の歴史から...
「清水寺」という寺名は、音羽山中より今もなお途切れることなくこんこんと湧き、音羽の滝に流れる霊泉に由来しています。この霊泉は「すべての人を救う」 観音さまのご利益とあわせ、古来より無病息災、立身出世、財福、良縁、子授けといった現世利益を願う善男善女を集め、「清水の観音さん」の名で全国に広く 信仰を得てまいりました。
開創は宝亀9年(778)、奈良時代の末で、山号は音羽山。宗派は北法相宗です。「北」は南都・奈良に対して北の京都に立地するという意味をもっています。
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昨日は気温が20度を超え、歩いていると軽く汗ばむぐらいの陽気でした。
今回の記事は
京都随一の人気寺院、清水寺です。(1,2枚目の画像は清水の舞台[本堂]、3枚目は三重塔です。)
いつ訪れても、ここ清水寺近辺は国内外からの観光客と修学旅行生で溢れかえっています。
TVなどのメディアにも数えきれない程に紹介されている清水寺が今回のテーマです。
では、例により清水寺の歴史から...
「清水寺」という寺名は、音羽山中より今もなお途切れることなくこんこんと湧き、音羽の滝に流れる霊泉に由来しています。この霊泉は「すべての人を救う」 観音さまのご利益とあわせ、古来より無病息災、立身出世、財福、良縁、子授けといった現世利益を願う善男善女を集め、「清水の観音さん」の名で全国に広く 信仰を得てまいりました。
開創は宝亀9年(778)、奈良時代の末で、山号は音羽山。宗派は北法相宗です。「北」は南都・奈良に対して北の京都に立地するという意味をもっています。
(引用:清水寺ホームページ)
清水寺の名の由来ともなっている音羽の滝の水は延命の水とも言われています。
では、清水寺の英訳を見ていきたいと思います。
逆光失礼 m(_ _)m
拝観受付側にある看板では、KIYOMIZU-DERA(Buddhist Temple) となっていました。
Temple に Buddhist という語が付けられていますが、日本人の Temple の認識だと、(仏教の)寺院という認識が強いかと思います。
では、書籍における英訳を見てみたいと思います。
①:Kiyomizu-dera or "clear water temple"
寺(仏閣)・神社については、普通名詞部分の表意を表記した英語に対応する日本語が複数存在しており(例:Temple⇒○○寺・〇〇院等、Shrine⇒○○神社・○○神宮・○○天満宮・○○大社等)、仮に、普通名詞部分について英語による表意表記のみにすると、例えば平等院を Byodo Temple と表記した場合に平等寺と誤って認識されたり、平安神宮を Heian Shrine と表記した場合に平安神社と誤って認識されたりするおそれがある。このため、外国人旅行者に意味・呼び名を正しく伝える必要があることから、ローマ字による全体の表音表記に加えて、普通名詞部分の表意を表記することが望ましい。
この画像は、清水の舞台を真下から撮影したものです。
高さは先端部から地面まで約12~13m、だいたい4階建てのビルに相当します。
4階建てビルから飛び降りると考えていただくと、思い切った決断をするという意味が想像しやすいかもしれません。
では、この「清水の舞台から飛び降りる」という諺の英訳を見てみると...
・ jump off the Kiyomizu Temple stage
・ take a very decisive step
・ cross the Rubicon
・ jump in at the deep end
・ shoot Niagara
では、書籍における英訳を見てみたいと思います。
①:Kiyomizu-dera or "clear water temple"
(佐藤 静也著 『SHRINES AND TEMPLES OF KYOTO:An English
Guidebook with a Virtual Bus Tour』 2001年)
②:Kiyomizu Temple
(ディビッド・A・セイン英文作成 『京都を英語で言ってみる』 2008年)
③:Kiyomizu Temple
(伊藤 通子著 澤井 雅子英訳 『英語で伝える日本』 2006年)
④:Kiyomizu Temple
(広瀬 直子著 『1分間英語で京都を案内する』 2014年)
⑤:Kiyomizu-dera
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)
さすがは人気の寺院、メジャーどころだけあって、採り上げていない書籍は(私の有する書籍の中には)ありませんでした。
数が多いので5冊に限定しましたが、意外と Kiyomizu Temple という英訳が見受けられます。
南禅寺の記事では Nanzenji(-ji) もしくは Nanzenji(-ji) Temple という英訳しか見受けられず、Nanzen Temple という英訳はありませんでした。
しかし、南禅寺の記事と今回の清水寺の記事、両方で採り上げた②のディビッド氏の英訳を見比べてみると...
南禅寺は Nanzenji Temple と英訳していますが、清水寺は Kiyomizu Temple と英訳しています。
細かい違いではありますが、何故 Nanzen Temple とは英訳しなかったのか、何故 Kiyomizudera(-dera) Temple とは英訳しなかったのか。
南禅寺と清水寺、2つの寺院の名前の由来を比べてみたいと思います。
南禅寺の記事でも少し触れていますが、南禅寺という名の由来には禅林寺(永観堂)の南に位置していることが関わっています。
一方、清水寺は音羽山の清廉な滝の水が名の由来となっています。
由来は全く異なる2つの寺院ですが、英訳方法を分ける理由が表れているかと問われると...。
ここではごく簡単に触れますが、日本の国土交通省所属の観光庁は観光地として人気の寺院および神社の英語表記、大きくは固有名詞の英語表記を統一するために、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」というものを平成26年の3月に出しています。
ガイドライン出すのが遅い!(#゜Д゜)
という愚痴は今は置いといて...
そのガイドラインにおいて、固有名詞の英語表記を以下のようにまとめています。
Ⅰ:普通名詞部分以外の表音を表記するとともに、普通名詞部分の表意を表記
(例:日比谷公園→Hibiya Park 成田空港→Narita Airport)
Ⅱ:普通名詞部分を切り離してしまうと、それ以外の部分だけでは意味をなさなかったり、普通名詞部分を含めた全体が不可分の固有名詞として広く認識されている場合には、全体の表音表記に加えて、普通名詞部分の表意を表記
(例:荒川→Arakawa River 清水寺→Kiyomizu-dera Temple)
また特に寺院および神社に関しては、以下のように付け加えられています。
寺(仏閣)・神社については、普通名詞部分の表意を表記した英語に対応する日本語が複数存在しており(例:Temple⇒○○寺・〇〇院等、Shrine⇒○○神社・○○神宮・○○天満宮・○○大社等)、仮に、普通名詞部分について英語による表意表記のみにすると、例えば平等院を Byodo Temple と表記した場合に平等寺と誤って認識されたり、平安神宮を Heian Shrine と表記した場合に平安神社と誤って認識されたりするおそれがある。このため、外国人旅行者に意味・呼び名を正しく伝える必要があることから、ローマ字による全体の表音表記に加えて、普通名詞部分の表意を表記することが望ましい。
だそうです。
日本の国交省の立場だと、Kiyomizu Temple だと外国人観光客が「清水院」と認識しちゃう可能性があるから、Kiyomizudera Temple と表記してネ。ということになりますね。
言いたいことは色々とありますが、ここで一旦止めておきましょうか。
つまり、ディビッド氏がこのガイドラインを加味して英訳したかどうかはわかりませんが、南禅寺の「南禅」はそれ単体では意味がわからない or 皆が「南禅寺」という一語で認識しているからわざわざ分ける必要はない、と考えたのでしょう。
清水寺の場合なら、「清水」は単体で「清廉な水」という意味を持つ or 皆が「清水」「寺」と二語で認識しているから分けられる、と考えたのでしょう。
普通名詞部分だけで意味を持つ寺院は金閣寺や銀閣寺などもそうでしょうか。
では、ウェブサイトにおける清水寺の英訳ではどうでしょうか。
⑥:Kiyomizudera Temple
⑦:Kiyomizu-dera Temple
⑧:Kiyomizu-dera
⑨:Kiyomizu Temple
⑩:Kiyomizu Temple
ウェブサイトでも Kiyomizu Temple という表記は見受けられました。
英語話者の外国人観光客にとっては、Sushi (寿司) や Geisha (芸者) みたいに、Kiyomizu (清水) もよく知られた日本語なのかもしれませんね。
例えば、⑩の World Travel Guide というウェブサイトでは、清水寺の英訳は Kiyomizu Temple ですが、伏見稲荷大社の英訳は Fushimi Inari Taisha Shrine となっていますし、金閣寺の英訳も Kinkakuji Temple となっています。
Kiyomizu という言葉がある程度馴染みを得ている言葉である、という可能性も無きにしも非ずと言えるのではないでしょうか。
清水寺という寺院の名前の英訳についてはここぐらいにしまして、次は清水寺の顔ともいえる「清水の舞台」の英訳について、見てみたいと思います。
清水寺における清水の舞台は、金閣寺における金閣(舎利殿)と同様に、その寺で一番有名なもの、参拝客を惹き付けるものです。
金閣寺の金閣の英訳は、the Golden Pavilion という英訳が多く見受けられましたが、清水の舞台の場合はどうでしょうか。
(参考:金閣寺の英訳について〔当ブログ内記事〕)
⑪:The stage or butai
(佐藤 静也著 『SHRINES AND TEMPLES OF KYOTO:An English
Guidebook with a Virtual Bus Tour』 2001年)
⑫:the stage of Kiyomizu Temple
(ディビッド・A・セイン英文作成 『京都を英語で言ってみる』 2008年)
⑬:The Balcony of Kiyomizu
(伊藤 通子著 澤井 雅子英訳 『英語で伝える日本』 2006年)
⑭:the stage of Kiyomizu
(広瀬 直子著 『1分間英語で京都を案内する』 2014年)
⑮:Kiyomizu no butai (Kiyomizu platform)
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)
清水寺という寺院名の英訳よりも、清水の舞台の英訳のほうがバリエーションに富んでいました。
あの大きく飛び出た舞台は、stage か balcony か platform か...。
個人的な感覚ですが、カタカナでの認識だとステージに一番近いような気がしますね。
実際、あの舞台の上では色々と芸能披露が行われていますからね。
清水の舞台といえば、「清水の舞台から飛び降りる」という日本の諺がありますね。
思い切って大きな決断を下すことの例えとして使われます。(大辞泉より)
思い切って大きな決断を下すことの例えとして使われます。(大辞泉より)
ちなみに、なぜ清水の舞台から飛び降りることが大きな決断を有することとなるかと言いますと...
この画像は、清水の舞台を真下から撮影したものです。
高さは先端部から地面まで約12~13m、だいたい4階建てのビルに相当します。
4階建てビルから飛び降りると考えていただくと、思い切った決断をするという意味が想像しやすいかもしれません。
では、この「清水の舞台から飛び降りる」という諺の英訳を見てみると...
・ jump off the Kiyomizu Temple stage
・ take a very decisive step
・ cross the Rubicon
・ jump in at the deep end
(新和英大辞典)
・ shoot Niagara
(英語ことわざ教訓辞典)
などと、辞書にはいろいろな表現が見受けられました。
やはり注目すべきは、「清水の舞台」を「Rubicon (ルビコン川)」と「Niagara (ナイアガラの滝)」というように、別の固有名詞で置き換えている点ですね。(上記リンクしてある南禅寺の記事も読んでいただけたら幸いです。)
cross the Rubicon に関しては、シーザー(カエサル)が「賽は投げられた」と言って渡ったことに由来しています。
The stage of Kiyomizudera Temple is too high and dangerous place to jump off.
Of course, we need a very important decision or courage if we try to jump off that stage.
We Japanese use the proverb "Jump off the stage of Kiyomizudera Temple (Kiyomizu no butai kara tobioriru)" to express the situations which needs important decisions or courage.
In English, Rubicon or Niagara are used as substitute for the stage of Kiyomizudera Temple.
まとめという訳ではありませんが、一応英語を取り扱っているブログなので、これからは頑張って数行でも英語のセンテンスを書いていきたいと思います。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
Thank you for reading till the Last!!
-Good English, Good Japan-
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