2018/07/03

化野念仏寺の英訳 -京都府-

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Kyo-Boyです。

6月ももう終わり、2018年も半分が過ぎてしまいました。

年月が過ぎ去るのはなんと早いことか……今という時間がいかに大事なものか考えさせられます。

今回は、前記事で採り上げた愛宕念仏寺の近くにあります……



化野(あだしの)念仏寺 を採り上げます。


愛宕念仏寺から徒歩でだいたい10~20分といったところでしょうか。

ここ化野念仏寺(+愛宕念仏寺)を訪れたのは、2年前の10月下旬でした。

訪れたかった理由は、ここ化野念仏寺で見ることができる西院の河原(さいのかわら)がどうしても見たかったからです。


まずは、西院の河原とはなんなのか……


画像は参拝時にもらえたリーフレットです。

画像の左側、右側の赤枠のところが西院の河原です。

いわゆる石仏、お墓ですね。


日本の中世以降の俗信で、三途の川の河原とされるところ。
西院の河原、または斎院の河原ともいう。
小児の亡者が、ここで石を積んで父母の供養のため塔を造ろうとするが、大鬼が来てそれをくずし、小児を苦しめる。
しかし最後には地蔵菩薩が現れて小児を救うと伝えられる。
地蔵菩薩信仰が生んだ俗信と思われる。
(ブリタニカ国際大百科事典)

一般的には”賽の河原”と表記するほうがよく知られているかと思います。

ただ、その字が示す通り河原のことなのですが、石を積んで造った塔と石仏とが似ているため、化野念仏寺の石仏群を西院の河原と呼びます。

また、TVドラマですが、ミステリー作家の山村美紗の人気シリーズである「赤い霊柩車」シリーズのオープニングはここ西院の河原で撮影されています。


化野念仏寺の歴史ですが……

寺伝によれば、化野の地にお寺が建立されたのは、約千二百年前、弘法大師が、五智山如来寺を開創され、野ざらしとなっていた遺骸を埋葬したと伝えられる。
その後、法然上人の常念仏道場となり、現在、華西山東漸院念仏寺と称し浄土宗に属する。
(引用:化野念仏寺リーフレット)

「あだしの」は「化野」と記す。
「あだし」とははかない、むなしいとの意で、又「化」の字は「生」が化して「死」となり、この世に再び生まれ化る事や、極楽浄土に往来する願いなどを意図している。
この地は古来より葬送の地で、初めは風葬であったが、後世土葬となり人々が石仏を奉り、永遠の別離を悲しんだ所である。
境内に奉る多くの石仏・石塔は往古あだしの一帯に葬られた人々のお墓である。
何百年という歳月を経て無縁仏と化し、あだしのの山野に散乱埋没したいた。
明治中期に地元の人々の協力を得て集め、釈尊宝塔説法を聴く人々になぞらえ配列安祀してある。
賽の河原に模して「西院の河原」と名付けられた。



化野はかつて風葬地でした。

風葬、いわゆる亡くなった人を焼かず、埋めずに地上に晒し風化させるという埋葬方法が行われていた地でした。

風雨に晒された遺体がどうなるか……まあそれは恐ろしい状態になるのは想像つくかと思います。

京都には、三大風葬地と呼ばれる地域があり、化野はその内の一つです。

残り二つは清水寺付近の鳥辺野(とりべの)、大徳寺付近の蓮台野(れんだいの)ですが、ここ化野が有名なんじゃないかと思います。

この風葬地に放置されていた遺体を弘法大師空海が憐み、石仏を建てて埋葬したのが西院の河原です。

この西院の河原の始まりを考えると……写真撮影禁止なのは文化財保存という理由だけではないのかな?と考えてしまいそうです……。

(毎年8/23、24にある千灯供養のときは写ると聞いたことはありますが……。)



Adashino Nenbutsu-ji Temple is located near Otagi Nenbutsu-ji Temple.
Adashino is a name of place: Once upon a time, Adashino area was one of the most famous exposure burial areas in Kyoto.
Kukai, the founder of Shingon-shu Sect, buried many dead bodies.
"Sai no Kawara(Japanese Children's Limbo)" is a group of their graves.
So...you must not take a picture of Sai no Kawara.

京都のホラースポットとして採り上げられることもありますが、あくまで民衆へ火葬文化が広まっていなかったこと、当時の疫病流行等歴史的な経緯があってのことですので、恐怖心を煽るような採り上げ方は良くないなと思います。

また……




綺麗な竹林も見ることができます。




竹林の道を歩いていくと見られる六面六体地蔵です。

お参りの際は、水を掛けて「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」と唱えます。


化野念仏寺には、西院の河原以外にも見るべきスポットはありますので、是非訪れていただきたい寺院です。


では、英語表記を採り上げます。



看板はAdashino nenbutsuji Temple となっていました。

ただ、前記事の愛宕念仏寺の看板と比較すると面白い点が見受けられました。



少し小さくて見づらいかもしれませんが、前回記事で採り上げた愛宕念仏寺の案内看板です。

ちなみにどちらも京都市設置のものです。

化野念仏寺の英語表記は Adashino nenbutsuji Temple ですが、愛宕念仏寺の英語表記は Otaginenbutsuji Temple となっていました。

化野念仏寺の場合は「化野」と「念仏寺」の二語に分かれているのに対し、愛宕念仏寺の場合は「愛宕念仏寺」と一語で英語表記されていますが、この違いは何故生まれるのでしょうか。

「念仏寺」の部分の英語表記は両寺院共同じなので、違いが生まれるのは「化野」と「愛宕」、この二つの言葉が持ちうる意味の違いと考えられます。

大辞泉によると……

化野
京都市右京区嵯峨、小倉山の麓の野。

愛宕(「おたぎ」では出なかったので「あたご」で検索)
「愛宕山」の略
→京都市右京区にある山。標高924メートル。東の比叡山と相対する。





地名と山の名前という違い(・ω・?)


別に化野と愛宕で英訳方法、分ける必要なくね(・ω・?)


なんか、そこまで深く考えていないんじゃないかと思えてきました……(笑)。

では、書籍での英語表記はどうでしょうか。(愛宕念仏寺も採り上げている場合はこちらも採り上げます。)


①:Adashino Nenbutsu-ji
  Otagi Nenbutsu-ji
(槇野 修著 『対訳 寺社を歩けば京都がわかる』 2010年)

②:Adashino Nembutsu-ji
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)

③:Adashino Nenbutsu-ji
  Otaginenbutsu-ji
(阿部 由美子編集 『KYOTO The Greatest Travel Tips』 2008年)

④:Adashino Nembutsu Temple
(ジョン・ハワード・ロフタス翻訳 『日本絵とき事典5 MUST-SEE IN KYOTO』
2009年)




四例採り上げてみましたが、全て「化野」と「念仏寺」とを分けて英訳していました。

ということは、やはり化野と愛宕が持つ意味というのは異なる、もしくは異なっているという認識を持つ翻訳者が多いということでしょうか……。

化野は地名だから念仏寺と分けるのに対して、愛宕は山の名前だから念仏寺とは分けない、という理解が近いように感じます。

では、次はウェブサイト上の英語表記がどうなっているか見てみます。


⑤:Adashino Nenbutsuji Temple
  Otagi Nenbutsuji Temple

⑥:Adashino Nenbutsu-ji Temple

⑦:Adashino Nenbutsuji Temple

⑧:Adashino-Nembutsu-ji Temple
  Otagi Nenbutsu-ji Temple

⑨:Adashino Nenbutsu-ji Temple
  Otagi Nenbutsu-ji Temple

⑩:Adashino Nenbutsu-ji Temple (Temple無しの表記もあり)
  Otagi-nenbutsuji temple


6つ程、英語表記を採り上げてみましたが、細かいところで違いが見受けられますね。

⑧の Nembutsu-ji と Nenbutsu-ji はウェブサイト側のミスのような気がしますが……。

ただ、ウェブサイトにおける英語表記は Adashino と Otagi はどちらも同じように念仏寺と分けて英語表記されていました。

Otaginenbutsujiと一単語扱いで英語表記する方が珍しいのかもしれません。



今回は化野念仏寺を採り上げました。

ここを参拝したのは、2016年の10月だったのでかなり採り上げるのが遅くなってしまいました。

ホラースポットとして採り上げられることが多いのですが歴史的な経緯の話なので仕方ない部分もあるかなと思います。(だったら、清水寺周辺も風葬地だったんですがね(笑) )

ただ、西院の河原を興味本位で撮影するのは止めといた方がいいかと思います。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。



-Good English, Good Japan-
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