2015/07/28

鹿苑寺(金閣寺)の英訳(2) -京都府-

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金閣寺の英訳について、先の記事で触れましたが、金閣寺は金閣だけで構成されている訳ではありません。

他にも見るべきものはあります。

今回は、金閣以外の金閣寺の見所を採り上げたいと思います。

まずは…




鯉魚石・龍門滝です。


鯉は滝を上ると龍になる、という中国の故事から鯉魚石・龍門滝と名付けられたそうです。

色々と調べてみたのですが、金閣寺を英語表記している媒体においても、鯉魚石・龍門滝を英語表記しているものはほとんどありませんでした...。

ただ、金閣寺のリフレットには

The Ryumon Taki ・ Carp Rock

という英語表記がされていました。

また、呼称も龍門滝ではなく、龍門瀑となっていました。



………「りゅうもんばく」と読ませておいて、英語では”Taki”ですか(笑)

いっそのこと、”The Dragon Fall”なんて英訳するといいんじゃないかな?


鯉魚石のCarp Rockという英訳は、とても面白い。

名の由来が中国故事であることから、英語圏の観光客がこの鯉魚石を見ると、どういう印象を受けるのでしょうかね。

西洋の龍と東洋の龍は姿かたちが大きく異なる上に、他の生物からの転生というのもあまり聞いたことがないですが......。

言い方を変えれば、これが文化の違いでしょうね。

鯉魚石・龍門滝を英語表記している媒体はとても少ないですが、その少ない媒体の中に、とても面白い英語表記も見つけました。


Dragon Gate Cascade ・ a moss-grown rock in the shape of a carp

(伊藤通子著 澤井雅子英訳 『英語で伝える日本』 2006年)


この英訳はおそらくオンリーワンのものではないでしょうか。

鯉魚石については、英訳というよりは英語の解説に近いかと思います。

龍門滝については、龍=Dragon 門=Gate 滝=Cascade とそれぞれ英訳して、最後に一つに複合するという英訳方法ですね。

金閣をThe Golden Pavilionと英訳する方法と同一の方法ですね。


ただ、この英訳は日本の漢字の字面だけを見て、その字面に沿っただけの英訳という感じがしますね。

ユニークで面白いのは確かですが。(笑)


次に




数寄屋造の茶席、夕佳亭(せっかてい)です。 (賽銭箱遠くないか...?そもそも、茶席に賽銭箱?)


金閣寺のリフレットの解説では


江戸時代の茶道家・金森宗和が好んだ数寄屋造りの茶席で、夕日に映える金閣が殊に佳い(よろしい)ことから、「夕佳亭」と名付けられた。
正面の床柱、「南天の床柱」が特に有名。


だそうです。

この夕佳亭も鯉魚石・龍門滝と同様に、英語表記を載せている媒体は非常に少なかったです。

金閣が一番の目玉であるのは仕方ないことですが、こうも鯉魚石・龍門滝や夕佳亭の解説を載せていない媒体の多さを見ると

金閣寺=金閣

と、捉えられているのが顕著ですね。


その夕佳亭の英語表記を載せている媒体では


①:The Sekka-tei Tea House
(金閣寺リフレット)

②:The sukiya style teahouse called Sekka-tei
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)
③:a teahouse with posts of sacred bamboo or nanten
(佐藤静也 『SHRINES AND TEMPLES OF KYOTO An English Guidebook with
a Virtual Bus Tour』 2001年)

④:Sunset Viewing Teahouse
(伊藤通子著 澤井雅子英訳 『英語で伝える日本』 2006年)



私の手元にある媒体では、これぐらいでした。

夕佳亭という名前すら表記していないものもあるとは......。

Sunset Viewing Teahouseですか…夕佳亭の由来をしっかり考えられた英訳ですね。



次は




不動堂です。

この不動堂の傍では、朱印がもらえたり、一文字写経などができます。

ちなみに、私はここ金閣寺で購入した朱印帳に朱印を集めています。(この時、一緒に金閣寺に参拝した母の方が私以上に神社仏閣巡りにのめり込んでしまい、朱印帳はほぼ母の物となりましたが^^;)


不動堂に祀られる本尊は弘法大師が作られたと伝えられる石不動明王で、霊験あらたかな秘仏として広く一般に信仰されています。
節分と8月16日に開扉(かいびょう)法要がいとなまれます。



と、リフレットでは解説されています。


では、英語表記はどうなっているでしょうか。


⑤:Fudo-do
(金閣寺リフレット)


⑥:Fudo-do, a small temple for Fudo Myoo, King of Wisdom
(佐藤静也 『SHRINES AND TEMPLES OF KYOTO An English Guidebook with
a Virtual Bus Tour』 2001年)


不動堂はあまり英訳が見受けられませんでした。

鯉魚石・龍門滝や夕佳亭とは違い、この不動堂は固有名詞の中に固有名詞があるパターンで、Fudo-do以外の英訳をしようとすると、解説のような英訳にするしかないと考えられます。





金閣寺はなにも金閣だけがある訳ではありません。

歴史ある建造物や手入れされた庭など、見所はもっとあります。

それらも含めて解説した書籍なんかがあれば、もっともっと金閣寺について知りたい人にとってはありがたいものではないでしょうか。



おまけ



金閣寺の参拝ルートを回った最後の出口に立てられていた看板です。



本日はようこそご参拝頂きました。お気をつけてお帰り下さい。


Thank you very much.


と、凄く淡泊な言葉になっちゃいました。(笑)

こんな重ね重ねお礼を言う慣習は日本特有のもののような気がします。


それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。


Good English, Good Japan
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