2016/01/30

教王護国寺(東寺)の英訳(2) -京都府-

このエントリーをはてなブックマークに追加
では、東寺の記事第二弾です。



国宝五重塔です。(写真が暗くてごめんなさい。)

東寺の顔とでもいいましょうか。

東寺と言えば五重塔!というくらい、東寺の五重塔は有名でしょう。

京都駅からも見えるこの五重塔の高さは約55mであり、日本に現存する仏塔の中でも最高の塔です。

では、この五重塔とは一体どういう建物なのか、何故建てられたのかを少し見てみます。


五重塔(ごじゅうのとう)は、仏塔の形式の一つ。層塔と呼ばれる楼閣形式の仏塔のうち、五重の屋根を持つものを指す。下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)からなるもので、それぞれが5つの世界(五大思想)を示し、仏教的な宇宙観を表している。
(引用:五重塔Wikipedia)

仏塔(ぶっとう)とは、仏舎利(釈迦の遺体・遺骨、またはその代替物)を安置した仏教建築をいう。卒塔婆(そとば)、塔婆(とうば)、塔(とう)とも呼ばれる。
(引用:仏塔Wikipedia


五重塔はいわゆるお釈迦様のご遺骨を安置する建物だそうです。

金閣寺にある金閣(舎利殿)もお釈迦様のご遺骨を安置する場であるので、仏塔も舎利殿も建てられた目的は同じのようです。

では、何故お堂ではなく塔なのかという理由についてですが、そのお釈迦様のご遺骨を安置した場所が遠くの人々、東寺を実際に訪れることができない人々にも見えるように、ここまで高い塔として建てたという記述も見受けられました。


ではでは、五重塔の英訳を見てみます。



①:Five-Storied Pagoda
(東寺リフレット)

②:five-story pagoda
(アダム・フルフォード英文作成 『英語で京都を案内できますか?』 2011年)

③:Five-story Pagoda
(槇野 修著 『対訳 寺社を歩けば京都がわかる』 2010年)

④:five-storied pagoda
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)

⑤:five-storied pagoda
(伊藤 通子著 澤井 雅子英訳 『英語で伝える日本』 2006年)

⑥:five storied pagoda

⑦:The 5-story 57 meter high pagoda

⑧:five-storey pagoda (storeyはstoryの英国表記)



リフレットと書籍、そしてウェブサイトにおける五重塔の英訳を8つほど採り上げてみました。

story(storey) か storied の違いはありますが、どの英訳も塔は pagoda という英語を用いていました。

pagoda とは、仏教やヒンズー教における塔という意味です。

こういった神社仏閣の英語表記について色々調べていると、仏塔は pagoda であり、tower ではないというのは、ある種の常識のようになっているところはあります。

必ずしも、塔=tower ではないところに、英語の語の認識の細かさを感じます。

また、Kyoto Travel Guide の57 meter high という表記ですが、東寺のリフレットには55mとあり、媒体によって少し違いが見られます。

アラビア数字表記というのは、多くの国で用いられているものですから正確な表記は外国人観光客の興味を惹き付ける材料となります。

したがって、統一したほうがいいでしょうね。

ただ、変わりようがない塔の高さが違うということは正式に塔の高さは計測されたことはなく、古来からの言い伝えでここまで伝わっているかもしれませんね。


では、五重塔はここまでにして、次は……






こちらも国宝の金堂(こんどう)です。

東寺の入り口にあたる南大門を抜けると、すぐ正面に見える大きなお堂です。

金堂とは、いわゆる寺院の本尊を祀る本堂のことですが、飛鳥時代から平安時代前期にかけて創建されたいわゆる古寺、古刹では、金堂と呼称されることが多いそうです。
(参考:本堂Wikipedia)

東寺の本尊は薬師如来様、重要文化財に指定されています。

では、この金堂の英訳はどうでしょうか。

(五重塔の際と同じ書籍、ウェブサイトを用いている場合は、一部出典を省略しています。)


⑨:Kondo(Main Hall)
(東寺リフレット)

⑩:Kon-do('Golden Hall')
(『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』)

⑪:The Kon-do, the grand main hall of To-ji
(『対訳 寺社を歩けば京都がわかる』)

⑫:Kondo, Main Hall
(『英語で伝える日本』)

⑬:The Kondo Hall
(japan-guide.com)

⑭:The Kondo(Main Hall)
(Lonely Planet)


6つほど採り上げてみましたが、一つ Golden Hall という英訳があります。

写真を見てもお分かりの通り、金堂は「金」という字が用いられていますが、外観は金色ではありません。

中の本尊は金色をしていますが、それでも Golden Hall という英訳では、まるで金堂が金閣のように金色をしていると誤解される可能性があります。

おそらく、金堂という字だけを見て英訳したと考えられます。 

日本語の漢字の意味をしっかりと捉えた英訳ではあると思いますが、金堂という語の意味を鑑みると、やはり Main Hall とするのがよいかと思います。 


では、最後は……





金堂の隣にある 講堂 です。

こちらの講堂は重要文化財に指定されています。

この講堂の中には、21体の仏像が安置されており、それらが曼荼羅(まんだら)の世界を表現しています。


曼荼羅とは……

「マンダラ」という語は、英語ではヒンドゥー教や その他の宗教のコスモロジー(宇宙観)も含め、かなり広義に解釈されている。日本では通常、仏教の世界観を表現した絵画等のことを指す。「曼荼羅」は狭義 には密教曼荼羅を指すが、日本においては、何をもって「曼荼羅」と見なすか定義することは困難である。なぜなら、日本には阿弥陀如来のいる西方極楽浄土の様子を表した「浄土曼荼羅」、神道系の「垂迹(すいじゃく)曼荼羅」など、密教以外にも「曼荼羅」と称される作品がきわめて多く、それらの内容や表現形式は多岐にわたるからだ。
(引用:曼荼羅Wikipedia)

仏教における世界観や極楽浄土の世界を絵に表したものを曼荼羅と認識していることが多いです。

絵に表すということは平面、2Dのものですが、先述した通り、ここ東寺の講堂では、実際に21体の仏像を使って、この曼荼羅を表しています。

つまり、2D平面曼荼羅ではなく、3D立体曼荼羅ということです。

では、この講堂の英語表記に加えて、曼荼羅という語の英語表記も一緒に見てみたいと思います。


⑮:Kodo(Lecture Hall) / three-dimensional version of the mandala
(東寺リフレット)
 

⑯:ko-do / "three-dimensional mandala"
(『対訳 寺社を歩けば京都がわかる』)

⑰:the Kodo Hall / mandala
(japan-guide.com)

⑱:The lecture hall / mandala images which encode Shingon teachings
(Kyoto Travel Guide<Official>)

⑲:The Kodo(Lecture Hall) / Mikkyo(esoteric Buddhist) mandala
(Lonely Planet)


リフレットと1つの書籍では、3D立体曼荼羅と表記されていましたが、後の媒体では、21体の仏像が曼荼羅(密教世界)を表現しているという表記でした。

講堂の英訳は Lecture Hall が多数でしたが、曼荼羅の英訳も当たり前のように mandala でした。

Wikipediaによると、曼荼羅は元々サンスクリット語を音を英語、または漢字表記したものなので、英語という言語が別言語から取り入れた語だといえます。(言語学では、借用語、borrowingといいます。)

曼荼羅の英訳はmandalaと、さも当然のように使用されていますが、果たして英語話者の観光客は皆が皆、mandalaとはどういうものなのか理解しているのでしょうか。

曼荼羅という仏教特有の言葉は簡単にでも英語で補足説明すると、より丁寧ではないかなと思います。


長々と書きましたが、東寺の記事は一応ここまでとしたいと思います。

また疑問に思ったことがあれば、日を改めて参拝しようかと思います。



This Five-storied Pagoda of To-ji Temple is the highest pagoda in Japan and its height is about 55 meter (187 feet).
The reason why this pagoda is built is because the relics of Buddha are enshrined.
You can see inside the first floor of this pagoda although it is seasonal display. (please check the display schedule.)

You can see the three-dimensional mandala in the lecture hall Kodo. The buddhism word mandala is the painting which represents the buddhism world or the pure land.
In To-ji Temple, the mandala is represented three-dimensional with 21 statues. 

In the main hall Kondo, the principal image Yakushi Nyorai(center) and other two images Nikko Bosatsu(right) and Gakko Bosatsu(left) is enshrined.
You can see the three bright and big statues in this hall.

To-ji Temple is registered as a world heritage site.
It is accessible: At Kyoto Station, you take the Kintetsu Line and get off Toji Station, which is the next stop of Kyoto Station.
To-ji Temple and Nishi Hongan-ji Temple are the two world heritage sites that you can visit easily from Kyoto Station.


では、ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回は、松尾大社について採り上げたいと思います。(もう参拝はしてあります(笑)。) 


-Good English, Good Japan-  
このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿