2015/11/22

八坂神社の英訳 -京都府-

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今回は







八坂神社です。

(2枚目の画像は四条通り正面に位置する西楼門です。記念撮影されている方々がおられたので少々画像を加工しています。)


観光客が多いエリアの一つである清水・八坂エリアですが、ここ八坂神社西楼門前は記念撮影の観光客の方々でごった返しています。

上の画像も何分か待って、ようやく門前に人が減ったときに撮影したものです。


また、京都の夏の風物詩である祇園祭はここ八坂神社の祭事です。



では、初めは八坂神社の歴史から

当社は慶応4年(1868)5月30日付の神祇官達により八坂神社と改称するまで、感神院または祇園社と称していた。創祀については諸説あるが、斉 明天皇2年(656)に高麗より来朝した使節の伊利之(いりし)が新羅国の牛頭山に座した素戔嗚尊を山城国愛宕郡八坂郷の地に奉斎したことに始まるという。
また、一説には貞観18年(876)南都の僧円如が建立、堂に薬師千手等の像を奉安、その年6月14日に天神(祇園神)が東山の麓、祇園林に垂跡したことに始まるともいう。


八坂郷という地に素戔嗚尊を祀った歴史的経緯から、八坂神社となったようです。


日本では、寺院・仏閣=仏教、神社=神道という認識が強いかと思いますが、本地垂跡という考え方もあります。

八坂神社も本地垂跡説の考えの元、建立されたという説があるというのは初めて知りましたね。

引用文中にもある垂跡(垂迹とも)とは、仏・菩薩は衆生を救うため、様々な姿となって現れているという意味で、本地垂跡説はそのような考え方のことです。


では、英訳を見てみたいと思います。




左側が英語版リフレット、右側が日本語版リフレットです。 

リフレットでは、Yasaka Jinja となっていました。

また、英語版のリフレットには

"Yasaka Jinja" means "Shrine of the Eight Hills, " which some say refers to the original geography of its site.

という解説も見受けられました。

八坂というのは、その土地、地形の名前らしく、八坂郷がそれでしょうか。
  
では、書籍における八坂神社の英訳はどうでしょうか。




①:Yasaka-jinja
(槇野 修著 『対訳 寺社を歩けば京都がわかる』 2010年)

②:Yasaka Shrine
(広瀬 直子著 『1分間英語で京都を案内する』 2014年)
③:Yasaka Jinja
(ジョン・モリス英文翻訳 『楽しく歩ける!楽々わかる!英語対訳で旅する京都』
2014年)





書籍の英訳を探していると、意外と八坂神社のことを採り上げていない書籍も見受けられることに驚かされます。

京都の神社仏閣を網羅するのは難しくても、八坂神社は載せるべきじゃないのかな...?と思います。



次はウェブサイトにおける八坂神社の英訳です。




④:Yasaka Shrine

⑤:Yasaka-jinja Shrine

⑥:Yasaka-jinja Shrine

⑦:YASAKA JINJA (YASAKA SHRINE)

⑧:Yasaka-jinja

⑨:Yasaka Shrine





今回6つのウェブサイトの表記を採り上げました。

清水寺の英訳を採り上げた記事で少し触れた、普通名詞部分(清水)だけで意味を持つか持たないかという点は、今回の八坂神社の英訳においても重要だと考えられます。


まず「八坂神社」の「八坂」の由来ですが、上記八坂神社のホームページ創祀の欄を見ると...


(この記事上記の歴史の続き)
伊利之来朝のこと、また素戔嗚尊が御子の五十猛神とともに新羅国の曽尸茂梨(そしもり)に降られたことは、ともに『日本書紀』に記されており、『新撰姓氏 録』の「山城国諸蕃」の項には渡来人「八坂造(やさかのみやつこ)」について、その祖を「狛国人、之留川麻之意利佐(しるつまのおりさ)」と記してある。 この「意利佐」と先に記した「伊利之」は同一人物と考えられている。




これを引用していて、第一に思ったのが日本の神道の複雑さについてです。
神社を参拝して回るのは好きなのですが、神社各々の歴史を、リフレットを一読しただけではなかなか理解するのは難しい...。
ただ、伊利之が「八つの坂」がある地に住んでいたから「八坂造」という氏を賜った、つまり、八坂は八つの坂という字面通りの意味であるという説を説いているウェブサイトも見受けられました。
八坂という土地があって、八坂造という氏ができたのならば、八坂=土地の名前 ということになりますね。
まあ八坂という言葉にはこういった意味があるという点を加味して八坂神社を Yasaka Shrine と英訳したとは到底思えません。
清水寺の清水と同様に、八坂神社の八坂も八坂神社周辺の地域の名前として知られている言葉、あるいは、英訳者が外国人観光客に地域の名前として知ってほしい言葉と考えたのかもしれません。

よって、英訳方法という観点だけで見れば、八坂神社という名前を八坂と神社に分けて、Yasaka Shrine と英訳する方法は、清水寺を Kiyomizu Temple と英訳する方法と全く同一であるといえます。
南禅寺を Nanzen Temple としている英訳者が(私の持っている情報媒体では)いないことを考えると、



神社仏閣名の普通名詞部分(○○寺なら○○部分)がその土地や周辺地域の名前として認知されている場合は、普通名詞部分をローマ字表記し、それ以外の部分はそこに相当する英語を充てて英訳するという方法を採用できるのかもしれません。





ただ、そこは翻訳。10人の英訳者が居れば10人の英訳方法がある、と私は思っています。現に、何度か書籍の著者として採り上げさせていただいている広瀬直子氏は金閣寺を Kinkaku Temple と英訳していますが、平等院は Byodo-in Temple と英訳しています。
広瀬氏は著書にて、「○○寺(じ)」は「○○ Temple」と、「○○院(いん)」は「○○-in Temple」と英訳すると初めに書かれておられ、それに則ったにすぎません。
この神社仏閣名の英訳方法を考えるには、私の持っている材料ではまだまだ結論付けるに至りません。
国交省のガイドラインでは英訳方法を定めているものの、その英訳方法の是非については、まだまだ議論の余地があると私は考えています。
ゆくゆくは、自分の考えるベストな英訳方法を国に提言できたら...なんて大それたことを考えてみたり。


Yasakajinja Shrine is one of the most popular shrines in Kyoto.
The Japanese word "八坂(Yasaka)" means "Eight hills" literally. This word has a historical origin that Susano'o-no-Mikoto, which is one of the deities in this shrine, have been enshrined in 八坂郷(Yasaka-go) by 伊利之(Irishi), who has been a member of the delegation from 新羅(Shiragi), what is called now the Korean Peninsula.
Yasaka-go is the old name of the area around this shrine.
The Gion matsuri Festival is this shrine's rite and held in July in Kyoto.




今回の八坂神社の英訳の記事では、難しい固有名詞が多く登場しました。

神社仏閣を採り上げる上では避けては通れない道ではありますが、どのようにすれば外国人観光客の方々にわかりやすく伝えることができるのか...観光立国を目指す日本は考え続けなければなりませんね。


では、今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。





-Good English, Good Japan-
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